耳鳴りとは
まず、すべての人にご理解いただきたいのが、耳鳴りは誰の耳にでも起こっている、ということです。
ある調査では、無響室(完全な無音の部屋)に入った人のうち、ほぼすべての方が、普段は気にしたことのなかった耳鳴りを認識したという報告がされています。
私たちは、普段さまざまな音に囲まれて生活しています。その中で、耳鳴りを気にしない人は初めから症状として捉えることさえしませんが、気にされる方はひどく悩んでいらっしゃいます。夜中の冷蔵庫の稼働音と同じように、一度気になってしまうとなかなか意識の外へ追いやることはできません。このように耳鳴りは、個人の音の捉え方によって発症したり、あるいは全く気にならなかったりするものです。
もちろん、病気によって生じる耳鳴りもございますので、そちらも考慮しながら診療いたします。
原因と症状
原因
- 耳の病気(急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎、突発性難聴、老人性難聴、騒音性難聴、メニエール病など)
- 耳鳴りへの過剰な意識
- ストレス
- 加齢
症状
- 「ブーン」「ジー」「キーン」「ザー」「パカパカ」といった耳鳴り
- 耳鳴りによる不眠、日常生活への支障
また、以下のような、耳鳴り以外の症状を伴う場合には、耳の病気を疑いながら診療する必要があります。
- 耳の痛み
- 耳だれ
- めまい
- 耳が詰まったような感じ
- 難聴
など
なりやすい人
- 神経質な方
- 心配性な方
- ストレスを抱えている方
- 運動不足の方
なりやすい年齢
年齢を重ねるにつれて起こりやすくなる傾向にありますが、お子様や若い方にも見られます。
治療方法
大阪市にある当院では、耳鳴りに対する適切な捉え方を知っていただくと同時に、ストレスとの付き合い方の指導、投薬など、複数の側面からアプローチし、症状の緩和を目指します。その他、補聴器を使用していただき、相対的に耳鳴りを小さくする方法をとることもあります。
また、定期的に聴力検査、内耳検査をして、耳の病気も確認して参ります。
耳鳴りの捉え方を変える
まず、耳鳴りの原因を探るためにも、耳鼻科の専門医による診察を受けてください。検査で病気がないと分かれば、それだけで多少意識が変化します。また、異常なことではないんだ、誰にでもきこえるものなんだ、と正しい知識を得ることで安心が生まれます。
その後、医師が耳鳴りに対する適切な捉え方をアドバイスいたします。専門医の口から直接話をきき、また分からないことは質問することで、本サイトでの説明を読むのとはまた違った安心感が得られることと思います。
ストレスとの付き合い方指導
耳鳴りをはじめとした耳の症状は、普段の生活におけるストレスと深くかかわっています。ただ、生きている以上、ストレスをゼロにすることはできません。ある程度のストレスと、うまく付き合っていくことが重要です。
人に話すことで楽になったり、意外な解決策が見つかることもあります。当院を受診された際には、ご家庭、職場、学校などでのお悩みを、可能な範囲でお話しいただければと思います。
投薬
症状やお悩みの強さにより、精神安定剤を処方いたします。
精神的なリラックスが得られますので、耳鳴り症状の緩和が期待できます。
補聴器の使用
補聴器を使用により、相対的に耳鳴りを小さくすることが可能です。
耳鳴りと難聴について
耳鳴りは、老人性難聴、騒音性難聴、突発性難聴を原因として起こることもあります。
耳鳴りの適切な治療のためには、これらの難聴も念頭に置きながら診療する必要があります。
老人性難聴 | 年齢を重ねるにつれてきこえにくくなる難聴 |
---|---|
騒音性難聴 | 騒音・衝撃音による急性の難聴 |
突発性難聴 | ある日突然きこえにくくなる難聴 |
耳鳴りの予防方法
定期的に耳鼻科で検査を受け、耳の健康に対する安心感を持っていると、耳鳴りがきこえたときに過度に反応することも避けられます。
また、適度な運動、規則正しい生活により、ストレスが蓄積しないように、また身体を健康に保つことも大切です。