鼻の仕組みについて
鼻中隔のゆがみ
左右の鼻の穴の間にある仕切りを「鼻中隔」と呼びます。
鼻中隔は、「鼻中隔軟骨」「篩骨正中板」「鋤骨」と呼ばれる軟骨・骨で構成されています。軟骨は骨より発育が良い傾向があるため、その差によってひずみが生じ、鼻が曲がってしまうことがあります。
甲介の肥大
鼻の中には3つの甲介(上甲介・中甲介・下甲介)があります。呼吸を円滑に快適に行うために欠かせないものですが、炎症などで肥大してしまうと、鼻詰まりなどの症状を引き起こします。
鼻中隔湾曲症について
鼻中隔は、「鼻中隔軟骨」「篩骨正中板」「鋤骨」と呼ばれる軟骨・骨で構成されています。骨に比べ軟骨の方が発育のペースが早いため、その発育の差によってひずみが生じ、鼻が曲がることがあります。
ただ、ほとんどの方の鼻は、程度の差こそあれ、曲がっています。問題なのは、鼻が曲がっていることで「常に鼻が詰まっている」「いびきがひどい」「アレルギー性鼻炎の悪化、慢性化」「頭痛、片頭痛」「嗅覚障害」などの症状が現れている場合です。
このように日常生活において支障が生じている場合には、鼻中隔湾曲症に対する矯正のための手術が必要になります。
鼻中隔矯正術とは
鼻中隔に強い湾曲があり、日常生活に支障をきたしているケースに対して行われる手術です。また、鼻中隔の湾曲が副鼻腔炎の手術の妨げになっている場合などに行われることもあります。
粘膜下下甲介骨切除術と同時に行われることもあります。
粘膜下下甲介骨切除術とは
下甲介の腫れが強く、空気の通り道が狭くなることで鼻が慢性的に詰まった状態となり、保存的治療で改善が見られない場合に行われる手術です。
また、花粉症を含むアレルギー性鼻炎などの症状が強く、保存的治療で改善が見られない場合にも同様にこの手術が行われます。
鼻腔粘膜レーザー焼灼術と比較して
粘膜下下甲介骨切除術は、切開を伴うものの、効果が生涯続きます(レーザー治療は約1年)。それぞれのメリットとデメリットをご説明して、患者様のご希望をお伺いします。
適応される病気について
鼻中隔矯正術
- 鼻中隔湾曲症
粘膜下下甲介骨切除術
- アレルギー性鼻炎
- 慢性副鼻腔炎
治療方法
鼻中隔矯正術
ご来院後、手術の前処置として、鼻毛の切除を行います。その後、鼻の中に麻酔(局所麻酔)をかけてから、手術となります。
片側の粘膜から切開を加え、その後方の粘膜・骨・軟骨を剥離します。さらに軟骨に切開を加え、反対側からも粘膜・骨・軟骨を剥離します。両側の粘膜・軟骨・骨が分かれた状態で、初めに切開を加えた穴から湾曲した軟骨・骨を切り取り、縫合して終了となります。
湾曲した軟骨・骨を部分的に切除することで、鼻中隔を真っ直ぐに矯正します。内視鏡を使用した切除ですので、顔面、歯ぐきなどを切開することはありません。
※なお、発育途中の鼻中隔矯正術は、逆に骨格の成長に悪影響を与えるおそれがあります。鼻中隔矯正術は、19歳以上の方のみを対象としております。
粘膜下下甲介骨切除術
ご来院後、手術の前処置として、鼻毛の切除を行います。その後、鼻の中に麻酔(局所麻酔)をかけてから、手術となります。
下甲介は鼻の中でももっとも大きな粘膜であり、その中央部には下甲介骨と呼ばれる骨が通っています。粘膜から切開し、粘膜と下甲介骨を剥離し、切開した穴から下甲介を引き抜きます。下甲介がひしゃげ、空気の通り道が広くなり、鼻詰まりなどの症状が軽減されます。また、下甲介骨を介した血流が減るため、アレルギー反応も起こりにくくなります。
なお、内視鏡を使用した切除ですので、顔面、歯ぐきなどを切開することはありません。
手術後の注意点
術後の痛みについて
- 麻酔が切れると創部に痛みが生じますので、処方する鎮痛剤を服用してください。
- 手術翌日には痛みは和らぎますので、痛みが出たときにだけ鎮痛剤を服用してください。
手術当日中の過ごし方
- 手術当日は、入浴、運動は禁止です。
- お食事の制限は特にありません。食べやすいものを食べてください。
- 傷からの出血が多く驚かれる方がいらっしゃいます。出血に備え、手術当日中は安静を厳守してご自宅でお過ごしください。
- ソファなどに浅く腰をかけ、だらりと背もたれにもたれるようにして座り、安静にしていると良いでしょう。また鼻をアイスノンなどで冷やし、身体を毛布などで温めてください。この体勢を、食事とトイレ以外の時間、保ってください。(翌日の午前中も、できるだけこの体勢でお過ごしください)
- 夜の8時頃、出血がピークとなります。
- 就寝時は、いつも通り横になってください。眠気が訪れるということは、血圧も低下しておりますので、次第に出血は治まっていきます。翌朝には、ほとんど出血が治まっています。
手術翌日から
- 手術の翌日の午後から、軽い仕事・軽作業・軽い運動・入浴などができるようになります。翌々日以降は日常生活全体において特に制限はなくなりますが、激しい運動・重労働は1週間程度控えてください。
- 手術の翌日から、2週間程度はできるだけ毎日通院してください。
- 術後後1週間は、手術に伴う炎症・傷のかさぶた、止血材料などで鼻が詰まりますが、2週間が経過した頃には快適な状態になりますのでご安心ください。
- 1~1か月半が経過すると、さらに快適な通気、その他症状の改善が見られます。以後、その状態が続きます。