めまい症とは(めまいの種類)
一口に「めまい」と言っても、その種類はいくつかに分類されます。
数秒のめまいなのか、数十分、あるいはそれ以上続くものなのか。またはぐるぐると視界が回る回転性のものなのか。さらには、吐き気や耳鳴りを伴うめまいかどうか。慢性的なめまいなどは特に注意が必要です。
耳鼻科領域の病気と共に、小脳梗塞、脳幹梗塞などの全身疾患のリスクを考慮しながら診療いたします。
原因と症状
原因
めまいの発症には、さまざまな原因が関係しています。
- 耳の病気(メニエール病、突発性難聴、内耳炎、前庭神経炎など)
- 耳の感染症、手術
- ストレス、自律神経の乱れ
- 頭部や耳のケガ
- 長期の安静によるもの
- 急性低血圧
症状
めまい症状には、以下のようにいくつかの種類があります。
- ぐるぐると回る回転性のめまい
- ふわふわとした浮動性のめまい
- 視界が暗くなるようなめまい
- 一過性のめまい
- 頻発性のめまい
- 頭部や身体を動かしたときのめまい
- 慢性的なめまい
めまいと天気や季節の関係性
めまいは、天気や季節によって発症することもあります。梅雨時、台風や前線の通過時などがそのタイミングに当てはまります。
天気や季節によって起こるめまいは、乗り物酔いが起こるときと構造が似ています。そのため、酔い止め薬を内服することで、内耳の血流促進、興奮の抑制がなされ、症状が改善されることがあります。
どんな人がめまいになりやすいか
めまいは、耳の病気を抱えている方の他、以下に当てはまる方に起こりやすいとされています。
- ストレスを抱えている
- 乗り物に酔う
- のぼせやすい、ほてりやすい
- 夕方から夜にかけて集中力の低下を感じる
- 雨の日に関節、古傷が痛む
治療方法
めまいを伴う耳の病気として、メニエール病の他、真珠腫性中耳炎、慢性中耳炎、耳管開放症、突発性難聴などが挙げられます。
これらの病気が認められた場合、その治療を優先して行う必要があります。
メニエール病の治療
生活習慣の改善の他、イソソルビドという浸透圧利尿剤、メニレットゼリー、抗不安薬などの投薬治療を行います。また、「内リンパ嚢開放術」「ゲンタマイシン鼓室内注入術」という手術を行うこともあります。
真珠腫性中耳炎の治療
軽度の場合、洗浄・投薬で炎症をコントロールします。中程度以上に進行している場合には、「鼓室形成術」と呼ばれる手術を行うこともあります。
慢性中耳炎の治療
抗生物質や点耳薬の投与、中耳の洗浄を行います。「鼓室形成術」「耳小骨再建術」「鼓膜穿孔閉鎖術」などの手術を行うこともあります。
耳管開放症の治療
生活習慣の改善、投薬の他、「耳管閉鎖術」「耳管内ルゴール塗布」といった手術、処置を行うこともあります。
突発性難聴の治療
基本的に、投薬治療を行います。ステロイド剤、代謝を高める薬、血液を固まりにくくする薬、抗ウイルス薬などを使用します。
めまいは何科に行くべきか
めまいの他、耳鳴り、音のきこえにくさ、耳の詰まったような感じといった症状を伴う場合には、耳鼻科にご相談いただくことで、専門的な検査・治療が受けられます。
耳の症状がないめまいの場合には、一般的に神経内科を受診されるのが良いとされています。
※多田耳鼻咽喉科医院では、耳鼻咽喉科領域以外での診療が必要と判断した場合には、速やかに信頼のおける医療機関をご紹介できる体制を整えておりますので、安心してご相談ください。
めまいとメニエール病との関係
近年、メニエール病という病名が広く認知されるようになり、めまいを感じた方が「もしかして」と受診されるケースが増えています。
確かに「めまい」は、メニエール病の症状のうちの一つです。また他の耳の病気に比べて完治が難しいイメージがあり、患者様がご不安になるのはごもっともです。ただ、実際に「メニエール病かも」とお思いになって受診され、メニエール病と診断されるのは、そのうちの1割程度です。それ以外は、他の病気によるものだったり、ごく軽度の一過性のものなのです。
めまいを感じたときには、その種類によらず、まずは一度ご相談いただき、専門医による正しい診断を受けることが重要です。
日常気を付けるべきこと
めまいを感じる原因はさまざまありますが、その多くは、平衡感覚の乱れを含みます。平衡感覚を維持・向上させるために当院がお勧めしているのが、「歩くこと」です。
特にご高齢の方に多いのが、外に出るのが不安で出歩かなくなり、さらに自宅内でも移動しなくなり、血液の循環が鈍ったり、ストレスを抱えてしまっているケースです。これではなかなか、めまいは改善しません。
感覚は、使わなければ衰えていきます。あまりに刺激が少ないと、その機能が正常に働かなくなります。
近所を歩くだけでも構いません。景色を見て、においを感じて、ものに触れて、音をきいて、おいしいものを味わうように、平衡感覚も使うことで鍛える。当然、歩くことで筋力維持の効果も得られます。